新規事業が目白押し
次の10年を語る
■武田 利信社長
(たけだ・としのぶ) 1958年9月生まれ。81年ビックサンズ入社。90年代から、病院向けカードシステム事業に参画し、2000年同事業を推進するホスピタルネット設立に参加し、07年から社長。座右の銘は「思えば成る」。兵庫県出身、50歳。
マルチICカードシステムの年内販売を
----〝病院を快適に〟をモットーにする事業の開始はテレビ視聴システムですが、その経緯から聞かせてください。
「病院をより快適にしようと、多彩な事業を推し進めています。まず、患者さんたちが、病院内で小銭を持ち歩かないで済むようにと、キャッシュレス化から取り組みました。磁気カードやICカードによるプリペイドカードを使ってベッドサイドのテレビを視聴する事業です。当初、ビックサンズの事業部としてスタートしましたが、2000年に当社を設立し現在に至っています」
-----非接触ICカードについては。
「HosCaは院内キャッスレス化と合わせて、セキュリティをも想定して開発しました。 実際に病院などでは、テレビの視聴や冷蔵庫の利用をはじめ、売店、食堂、自販機、駐車場など多様な場面で利用されています。さらに入院患者だけでなく、病院職員用のIDカードシステムとして使ってもらおうと、勤務管理をはじめ、薬品庫などへの入室管理にもHosCaは利用できます」
----ICカードのさらなる高度化への取り組みは。
「マルチICカードシステムの年内販売を目指しています。このシステムは、一般のコンビニなどで利用されている汎用電子マネーをそのまま病院内の売店、食堂、駐車場やベッドサイドのテレビなどで利用できるようにするというものです。現在、全国で1億3000万枚の電子マネーが普及し、使える店舗も日々拡大しています。1つの電子マネーで病院の内外でも使えることになり、利便性は大きく高まると期待しています」
空き時間の活用で検診の価格革命
----病院の経営改善を目指す医療設備の高度利用システム化にも取り組んでいますね。
「人間ドックに使われる高度検査医療機器は、土・日曜や10月以降、3月までの期間はあまり活用されていません。この空き時間が病院経営を圧迫しています。この高価な設備とスタッフの空き時間を効率的に活用する新しい事業を始めます。空き時間の活用が進むと、検診の価格革命が起きます。この事業は、新ブランド〝ライフスタイルファースト〟として、今年8月よりテスト販売を開始します。受診者、健保組合、病院全てから歓迎されるネットワークの実現を目指します。」
----病院のエコにも取り組んでいますね。
「グループの東和メックス(東証二部)LED表示機分野でトップシェアを永年続けています。この強味をいかし、病院分野での情報・ECO分野に本格参入します。病院は大量の電気エネルギーを消費する所。
そこで、蛍光灯の約半分の消費電力で済むLED照明事業を積極的に進めています。LEDは初期コストこそ高いが電気消費の少なさから約3年で投資コストを吸収できる計算です。レンタルの活用で、省エネにいますぐ貢献できる仕組みを作りました。また5年後1兆円産業といわれるデジタルサイネージの導入も、医療施設や調剤薬局向けに力を入れていきます。これは単に情報の表示だけでなく、携帯電話詳細情報が蓄積できるなどの機能を持つ業界初の病院向けオリジナルシステムを投入します」
病院をより快適に ホスピタルネット
「病院をホテルのように快適にする」を事業コンセプトに揚げるホスピタルネットは、プリペイドカードによる病院ベットサイドのテレビ視聴システムを業績の大きな柱として躍進してきた。
すでに、テレビ視聴カードシステムでは、累計60万台の実績を持ち、全国シェアは1位。業績も設立以来10年連続黒字計上を誇る。
この磁気プリペイドカードに加え、2004年には、非接触ICカード技術を取り入れたキャッシュレスシステムHosCa(ホスカ)を開発。キャッシュレス化と合わせて病院職員用として、勤務管理や薬品庫、カルテ室の入退室管理などへと応用が拡大した。このため、大規模病院業界からの反響が大きく、現在では大学病院をはじめ17病院、1万台の実績を築いている。
本年末には、街中で利用されている汎用電子マネーに対応できるマルチICカードシステムの発売を計画している。これによって、すでに使われている電子マネーがそのまま病院内のベッドサイドのテレビや冷蔵庫、院内売店、自販機、駐車場でも使用できることになる。
「ライフスタイルファースト」 来月からスタート
一方、第2経営の柱として、期待しているが、検診の空き時間を有効活用するネットワーク事業の新構築だ。CT(コンピューター断層撮影装置)MR(核磁気共鳴画像撮影装置)などの高度検査医療機器は高額にもかかわらず、春から秋の繁忙期、しかも平日、日中に稼動が偏っている。また受診者が1人でも最小限の医療スタッフを必要とするなど、病院側の負担は大きい。この空き時間をネット化し、新たな事業として立ち上げる。「空き時間を有効活用できれば、人間ドック利用料金の価格革命が起きる」と言われるだけに「より多くの人に受診してもらえる」の思いからだ。
この新サービスは「ライフスタイルファースト」のブランドで本年8月からスタートする。
さらに、グループの東和メックスとの連携によって、病院内のECOでも、攻勢をかける。LED(発光ダイオード)照明により、病院の低電力消費を徹底したい考えだ。また東和メックスはデジタルサイネージの大手だけに、医療機関や調剤薬局に対して、液晶とLEDを複合したデジタルサイネージ事業も拡充していくことにしている。
日本は2010年には50歳以上の人口が50%を超える。ホスピタルネットはシニアの最大の関心事である「健康」について、医療/介護の専門分野の企業及び人達と一緒に「喜んでもらう喜び」(For You)をモットーに、人と環境に優しい企業を目指している。
国際モダンホスピタルショウ2009年に出展
また、本日から17日までの3日間、東京ビックサイトにて国際モダンホスピタルショウ2009が開催される。ホスピタルネットは東6ホール・F-91ブースに出展。
▽HosCa キャッシュレス&セキュリティ▽電子マネー対応 ICマルチタイマー▽メディカルサポート&ヘルスケアサービス▽LED照明▽デジタルサイネージなどを展示する。
会社メモ
◇本社 東京千代田区神田錦町2の2の22 TEL 03・3518・0877
◇大阪 大阪市北区西天満4の11の23 TEL 06・6367・7677
◇設立 2000年1月
◇資本金 5億4940万円
◇主要株主: ビックサンズ/NTT-IPD/シダックス/富士電機システムズ/セントケア・ホールディング
◇URL http:/ /www.hpnet.co.jp