ニュースリリース

2005年11月29日(火)
「“喜んでもらう喜び己もよろこびたい(ForYou)” を形にしていきます」
[週間ダイヤモンド(ダイヤモンド ビジネス イノベーション)]

株式会社ホスピタルネット代表取締役 村田三郎 プリペイドカードで病院の入院患者へアメニティを提供、 「病院のホテル化、快適さの向上」を図るといったビジネスモデルで成功を成し遂げたホスピタルネット。 今後はCSR(社会的貢献)も大きく視野に入れ、健康増進活動を「熟大メイト」でサポートしていく。


熟大メイト



病院の環境はいま変わり始めている

病院といえば治療に重点が置かれていたが、最近は患者に優しい病院づくりも病院評価の対象となってきている。例えば、病室環境の充実や入院生活の安心・快適・便利の確保などである。
 ビッグサンズが1987年に始めた「磁気プリペイドカードを使い病室でテレビを視聴する」事業は、その先駆けであり、当時は画期的なシステムだった。事業開始から20年が経過し、現在では累計70万台、200床以上の病院の70%への納入実績を持つ。2000年1月にはこの事業をビッグサンズから独立、ホスピタルネットを設立し現在に至っている。
 磁気プリペイドカードに加え、2004年にはJR東日本の「Suica」と同じFeliCaの技術を採用した非接触ICカードシステム「HosCa」(ホスカ)を開発。病院内での総合的なキャッシュレス環境とセキュリティ環境を実現した。このシステムは東邦大学医療センター大森病院、大阪回生病院、高知医療センターなど合計10施設の大学病院や大規模病院に導入され好評を得ている。
 入院生活では患者がパジャマで売店や食堂などを利用するため、小銭を持ち歩かずにすむという利便性は計り知れない。これまでの磁気プリペイドカードは1000円程度までの利用だったが、「HosCa」では数万円までの設定ができるため、本格的な病院内キャッシュレス環境を実現している。これにより、テレビや冷蔵庫をはじめ、売店や食堂、駐車場、ワゴン販売、インターネット利用、映画配信サービスなど、さまざまな用途で利用できるようになった。とくに、病室ベッドサイド端末から注文した品物をハンディターミナルと「HosCa」で決済できるワゴン販売は、歩行困難な患者に望まれていたサービスだ。
 また職員IDカードとしても使うことができ、職員食堂、売店、駐車場利用のほか出退勤管理も行えるのも特徴だ。最近は病院におけるセキュリティ管理が厳しくなり、薬品庫やカルテ室への入退室権限管理にも「HosCa」の機能が利用されている。患者ばかりでなく、病院管理システムにも大きな力を発揮するのが「HosCa」といえるだろう。
 ホスピタルネットは、病院アメニティ・システムメーカーとしてシステム機器開発に力点を置いてきたが、次世代の事業としてソフトやコンテンツに重点を移行。企業コンセプトとして掲げている病院をホテルのように快適にするための「ホスピタルコンセルジュ」の実現へむけて動いているのである。
 そこで同社では次のような事業展開を考えている。ひとつは、ベッドサイド端末のパソコン「MAMAPC」を進化させることだ。テレビが地上デジタル波に移行するタイミングも生かし、より便利で楽しいソフトやコンテンツを開発し患者に提供する。もうひとつは、ベッドサイドから病室空間へとアメニティを拡大する事業だ。これは病室リフォーム・簡易個室化事業で、病院が負担することなくリフォームや多床室の個室化を請け負うもの。診療報酬改定で病院の経営環境が厳しくなる中で着目されるだろう。

これまでの「病院のホテル化」事業に加え
2007年度から「団塊世代のヘルスケア(健康増進)」事業に進出

 また、お見舞いカード「ママカ」もスタートする。患者1人あたりが入院中に受け取るお見舞品を金額に換算すると平均約3万円にもなるが、これをプリペイドカードのプレゼントに変えてもらおうというもの。「お見舞いギフトカード」文化を創造し、「入院中は治療費用がかさみ、テレビを見るのも節約したい」という患者心理にも応えるものだ。
 「患者さんと見舞客とに喜ばれるシステムはないか」と考えぬいて完成したこの「ママカ」。プリペイドカードを封入するほか、ボイスメッセージを吹き込めるのがポイントだ。これに家族や友人の声を録音して、心細い入院生活の励みにしようというわけである。

団塊の世代を応援するヘルスケア事業へと進出
ホスピタルネットが次に着目したのは健康増進法だ。これは国民の健康維持と生活習慣病予防を目的に2002年に制定され、膨らむ医療費の抑制がねらいだ。2008年には生活習慣病やその危険性が高いと診断された被保険者への保健指導が義務化されるため、制度の転換・義務化のいま、大きなビジネスチャンスがあると村田は考えている。
 この事業分野への進出のきっかけは、NPO法人熟年体育大学リサーチセンターで研究・開発された携帯運動量計測器「熟大メイト」だ。「産・官・学・民」の協同事業から生まれた「熟大メイト」の開発・製造はT-テクノ(ビッグサンズグループ)が担当し、ホスピタルネットはパートナーとして全国展開に携わる。
 腰につけて歩くトレーニングマシンである「熟大メイト」は、ゆっくり歩きと急ぎ歩きを交互に繰り返す「インターバル速歩」という歩き方をすることで、個人に合わせた保健指導を導きだす。これらは専用ソフトで管理され、全国どこでもサービスを受けられる。長野県の住民参加によるリサーチでは、体重、体脂肪、血圧、中性脂肪などの数値が標準値に近づく結果がでたほか、うつ傾向の減少、さらにメタボリック症候群、生活習慣病も改善されたという。また、参加者は非参加者と比べ、半年で平均2万3000円の医療費削減効果が出ている。
 ホスピタルネットは、自治体と共に地域住民のコミュニティを全国に展開するほか、さまざまな事業助成金を確保し「熟大メイト」で地域住民の健康増進を積極的にサポートしていく。この取り組みは「ビジネスではあるがCSR(社会的貢献)の一環です。団塊世代のトップバッターである私自身も励みになるこの事業が楽しみです」と村田は語る。

村田三郎


株式会社ホスピタルネット
2000年1月、株式会社ビッグサンズの事業部門から独立。現在、ビッグサンズを中心とするBSグループ5社の一員。主力製品は業界シェア1位を誇る病院テレビカードシステム。2004年には非接触I Cカードである「HosCa」(ホスカ)を投入して、病院総合キャッシュレス管理を実現した。