ニュースリリース

2005年11月29日(火)
病院の“ホテル化”を支援 [日経産業新聞]

ビッグサンズグループ ホスピタルネット

 六十五歳以上の人口が二千万人を超え、高齢化が急速に進んでいる。それにともない、病院/介護分野で患者主体のサービスが強く求められるようになった。その動きに対応し、病院向けのプリペイドカード・システム事業を主力業務とするホスピタルネットは、「病院のホテル化への支援」をCSR(企業の社会的責任)の重要な柱に掲げ、多彩な活動を展開している。さらに、通信衛星を使った病院向け遠隔講座の全国ネットワークを赤字覚悟で構築するなど、社会的役割を意識した多様な事業を打ち出していく。いま、この「ホスピタルネット・スタイル」が、大きな収益基盤を持たない中堅企業のCSRのあり方として、注目されている。
収益よりも継続性を第一に
 高齢者人口の急増によって、病院主体の医療と介護の費用が急増し、国民皆保険制度の破綻が懸念され始めている。
 このため、「予防医学」「予防介護」「在宅介護」の推進により、総合的な医療費の抑制と「元気な熟年世代」の推進が国の政策として、重要度を増してきている。
 二〇〇〇年に設立したホスピタルネットは、電子ディスプレー事業で、国内シェアトップ誇るビッグサンズの病院/ホテル事業を分社化して「病院のホテル化」「病院サービスコンシェルジュ化」を目的に、NTTグループ、シダックス、セントケア、富士電機、三越、日本郵船などの有力大手企業の賛同を得て発足。村田社長は「病院の語源はホスピタリティで、医療と癒しの融合が大事。団塊世代のわれわれがシニア入りしていくなかで、ホテル並みアメニティと先端医療による、治療を受けれる病院が求められている。
 このなかで「医療の世界では、われわれは黒子(くろこ)に徹し、モノづくりとコンテンツづくりによるアメニティな環境づくりで役に立ちたい」(村田社長)という。

ホスカ 新しい環境を創造 導入範囲が広がる
 二十年前、入院中にテレビを観ようとすれば、売店で家電店の一時借りをするのが主流だった。「病院は治療の場で、テレビなど不要」の時代だった。この時代にプリペイドカードによるテレビ視聴課金システム事業スタート。現在では、病院の各ベッドにテレビや病院内のランドリー、電話まで、一枚のカードで通用プリペイドがないのが不自然なくらい普及している。村田社長は「“病院環境”を創造した」と言われている。

最先端の病院アメニティを商品化
HosCa
 カードシステムの実用新案、基本特許も保有しているホスピタルネットの業界シェアは段トツのナンバーワンであり、当初からの累計テレビ設置台数は七十万に達している。いま、業界で注目を集めているのは、入院生活を、キャッシュレスで過ごせ、病院内の個人認証としても可能なICプリペイドカード「ホスカ(愛称)」だ。これにともない、ホスカ・システムの導入病院も増えている。
 納入実績は、二〇〇四年には、岐阜大学病院、東邦大学医療センター大森病院、高知医療センターほか、現在までに五病院が稼動している。さらに十二月に開院予定の大阪回生病院が導入する。患者、職員向け院内キャッシュレス主体に、セキュリティー関係や各種決済端末などを、利用範囲を拡大している。
 この同社の思いが次々と具現化している。
 病院環境が大きく変化するなかで、最先端の病院アメニティを相次いで商品化している。
 サービスブランドはMAMA(Medical Amenity MAnagement)。主力事業のテレビ視聴課金システムに留まらず、病院内インターネット視聴のママネット、ビデオオンデマンド(VOD)システムで映画を見ることができるママシアター、簡易個室ファニチャーのママチェストなどのアメニティ製品を提供している。
 ハイセンスな内素材を施したインテリアとコーディネートし、ホテルのような快適な入院生活をハード面からも実現しようとしている。


最先端の病院アメニティ
HosCa



通信衛星を活用 全国に講座ネットワーク

 病院の医療本来のレベルアップにも取り組んでいる。ホスピタルフォーラム事業だ。
 これは、全国百十五カ所の受講拠点病院に、通信衛星を使って、講座を配信するというもの。
 講座の内容は、毎回、東京のスタジオでリアルタイムで撮影している。
 病院側では、屋上などに設置したCSアンテナで受信した映像を、会議室や研修室などのテレビやビデオプロジェクターなどの視聴覚機器に映す。来年度から、産官学の連携により開発を進めてきた介護と健康医療機器を、予防医学や介護分野に向けに発売する。従来、業際にあった介護分野での新たなチャレンジでもある。

安全で快適な環境を提供
 介護分野での最終目的は、ナイチンゲールの心を持ったヒューマロイドロボットであり、ヘルパーの悩みを解決して、少子化時代での「人に優しい介護」の実現を目指す。というのも、介護分野は3Kに近い就労環境でもあり、せっかく高い志をもって就業した人々が長続きしないという課題を抱えているからだ。サービスを受ける側はもちろんのこと、サービスする側にとっても安全で快適な環境が整ってこそ、発展していく事業になるのであろう。
 中小ベンチャー企業におけるCSR活動については“普及率ゼロ商品”できわめてリスクが高いが、医療、介護分野で遅れている「人に優しいハード&システムを先駆けて世に出すこと」という。

「人にやさしい介護」実現へ
 高校時代に少年赤十字団(J・R・C)に参加し、「みどりの羽根」や「黄色の血をなくす献血」などの活動に参加していた村田社長は「CSRなどと、大きな見栄を張るより、まずは“無財の七施”で誰でもできることを、社是の実践として“喜んでもらう喜び、己も喜びたい”を、貧者の一灯として灯し続けることこそ、CSRである」「肩を張らなくて、できることを、コツコツやる企業事業団であり、社員の集まり、を続けること」とあくまで地道な活動を貫いていく構えだ。