ニュースリリース

2001年3月15日
ITで〝いき活き〟5社に栄誉  第2回IT経営大賞

 IT(情報技術)は、不可能を可能にするツールだ。ITを経営に取り入れることで、従来考えられなかった効率化を果たし、新規ビジネスが創出できる。ITは、低迷する景気の影響をまともに受ける中小企業にこそ必要だ。日本IT経営大賞(主催・日本工業新聞社)は、ITを活用した多用な事例を顕彰することで、中小企業へのIT化促進を目指す。第2回の募集には、前回を上回る応募があり、そのなかから優れたIT事例として5社が受賞の栄誉を勝ち取った。受賞内容と会社の横顔を紹介する。

(中略)


日本商工会議所会頭賞 ホスピタルネット
「ラテン語では病院とホテルは同義語。これからの病院にはホテル的な要素が必要になってくる」と村田三郎社長は強調する。この考え方からインターネットを利用した「病院内コンセルゼサービス」を開発、ビジネス化に向けた取り組みを開始した。
 ホスピタルネットは、入院患者が病室で周囲を気にせず、いつでも好きなテレビを視聴できるプリペイドカード式の病院向けテレビカードシステム機器事業を手がける。すでに約1400の病院に約16万5千台のシステムを導入してきた。

病室から買物(EC)も
 今回、受賞対象となった新システムは、既設のプリペイドカード式テレビを活用。これにセット・トップ・ボックス(STB)を接続してインターネット機能を持たせた。外部と遮断される入院生活では、コミュニケーションや情報入手が困難だが、手軽なインターネットツールで情報提供をサポートする。利便性は患者だけではなく病院側も院内ネットワークとして業務支援に活用できるメリットがある。

テレビカードシステム

 簡単なリモコン操作により、患者はパソコン不要で普通にメール送受信や情報入手が可能になる。病院は選択給食やお知らせなど病院独自のコンテンツを患者向けに配信することもできる。「情報提供だけでなく例えばネットショップなどを利用し病室で買い物もできる」(村田社長)と活用法はいくらでも広がるという。

 システムは、5月から東京、大阪の病院で実証試験を開始する。同時に外来患者が診察の待ち時間を有効に使えるスペース「さくらラウンジ」を試験実施病院に設置する。ここにもインターネットの病院情報が閲覧できる端末を設置して、入院患者だけでなく外来患者にもサービス向上を図る。

 同社はこのシステムを今後3年間で30万台の普及を目指す。「30万台になればバナー広告で採算がとれ、プリペイドカード式テレビが無料化できる」という。

【会社プロフィル】
 2000年1月から病院向けテレビカードシステム機器事業を中心に病院向けサービスインフラ構築を展開。入院患者向けインターネットサービスのほかに健康や安心を提供するサイト運営など事業拡大を図る方針。
 ▽設立2000年1月▽資本金=5億円▽従業員数=26人▽主要事業=ホスピタルホテル、コミュニティサービス▽売上高=4億9000万円(2000年7月中間期)▽所在地=東京都千代田区神田小川町3-1-3、電話03-3518-0877、www.hpnet.co.jp

日本IT経営大賞
【選考対象】中小企業基本法に定める中小企業の範囲に該当する企業
【選考基準】インターネットをはじめとするITを活用した経営革新、新規事業などの事例および企画
【審査方法】募集期間(昨年11月から12月15日)に応募があった企業を書類選考、1次審査を経て2月上旬に開催した審査委員会で受賞企業を選定した
【審査委員】◇委員長=清成忠男・法政大学総長(日本ベンチャー学会会長)◇副委員長=熊野英昭・東京中小企業投資育成社長(元通産事務次官)◇委員=○橋田浩一・工業技術院電子技術総合研究所情報科学部長○鈴木善統・経済産業省・中小企業庁経営支援部長○黒澤保樹・シスコシステムズ社長○池田茂・NTTエムイー社長○ジャーナリスト・木村太郎氏○山下幸秀・日本工業新聞社社長
【表彰】◇中小企業長官賞(大賞)◇経済団体連合会会長賞◇日本商工会議所会頭賞◇フジサンケイグループ賞◇日本工業新聞社賞
【協賛】日本IT経営協議会(シスコシステムズ、NTTエムイー、NTTデータ、NTTアドバンステクノロジ)
【後援】経済産業省・中小企業庁、経済団体連合会、日本商工会議所、フジサンケイグループ