- 医療法人社団 KNI
北原リハビリテーション病院 様
- 患者様とスマテレが歩む
自立への最短ルート
リハビリテーション科 科長
井上 姫花さん
東京都八王子市の小高い丘の上にある北原リハビリテーション病院は、2018年にリニューアルオープンしました。その際、病室にテレビを置く代わりとしてスマテレを採用。患者様を最短期間で自立に導くという方針を新たに掲げ、徹底したリハビリテーションを提供する同院に、スマテレの導入経緯と効果について伺いました。
スマテレ®
Wi-Fiを利用してテレビが視聴できるタブレット端末
人と自然と技術の調和
北原リハビリテーション病院が属する北原病院グループは、医療の枠に捉われず八王子市民の人生をサポートするためのプラットフォームを築いています。その中核施設として誕生した北原リハビリテーション病院には、主に3つの役割があります。
1つ目は、自然や動物とのふれあいや人同士の繋がりをつくることで、人間が本来持っている免疫力を高める空間「ヒーリングファシリティ」であること。 病気でなくても訪れたいと思われる施設を目指し、温泉や果樹園を設けたりお祭りのようなイベントを定期的に開催しています。
2つ目は、デジタルホスピタルを実現すること。様々なセンサーやAIを活用し、医療の質の向上や業務の効率化に繋げています。
3つ目は、効果的なリハビリテーションサポートを提供すること。2018年のリニューアルを機に、同院は患者様を最短期間で自立に導くということを新たな方針として掲げています。院内だけでなく、自宅や駅・職場など実際の生活環境でより実践的なリハビリテーションを行うことで、患者様をスムーズな社会復帰に導いています。
リニューアル前の同院の平均在院日数は約90日でしたが、現在は約30日まで縮まりました。回復期リハビリテーション病棟の平均在院日数が69.4日※ であることを踏まえると、この短さは目を見張るものがあります。
※ 出典:中医協(2017)「個別事項(その5:リハビリテーション)」,[https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000
182077.pdf]2019.09.08アクセス
“テレビが見たい”を活動につなげる
患者様を最短期間で自立に導く取組みは、リハビリテーションや検査以外の時間の過ごし方にもありました。
リハビリテーション科科長の井上さんにお話を伺いました。
Q、スマテレの導入を決められた理由を教えてください。
「入院中、テレビを見たいとおっしゃる患者様が非常に多いのですが、病室でテレビを見ることは禁止しています。リハビリや検査の時以外は、病室にこもってテレビを見るという過ごし方をされる方が多いためです。リハビリの時にいくら頑張っても、それ以外の時間に身動きを取らないようでは回復が十分に進みません。テレビを見られる場合にも病室から出ていただく方法はないかと探していたところ、スマテレに辿り着きました。」
Q、スマテレはどこで利用できるようにしていますか。
「デイルーム、レストラン、温浴施設のみです。病室では使えません。テレビが見たい場合は、利用できる場所まで移動していただく必要があります。」
「当院では食事や面会はレストラン、入浴は温浴施設といったように、目的毎に場所を移動してもらっています。患者様にはとにかく活動していただくことで、身体機能だけではなく認知機能も高め、社会性の維持にも繋げていただきます。その全てがリハビリテーションであると考えています。」
多くの入院施設では、一日の大部分を病室で過ごせるようになっており、食事や入浴、家族との面会も病室で済ますことができます。それが快適な入院生活だと考えられることも多いですが、同院はリハビリテーション病院としての責務を何よりも重要視されています。

陽光が差し込むレストランでスマテレを利用されている。

テレビが見たい場合は、スマテレが利用できる場所まで移動していただいている。

スマテレにはスタンド機能付きのカバーが付いており、楽な姿勢でテレビ等を楽しむことができる。
スマテレの運用と効果
Q、患者様がスマテレの利用を開始するまでの流れを教えてください。
「患者様が当院に転院されましたら、まずコンシェルジュが入院のご案内をいたします。その際に病室にはテレビがないこと、そしてスマテレが有料で利用できることを説明し、利用を希望される患者様にスマテレを貸し出しています。」
Q、スマテレを利用される方はどれくらいいらっしゃいますか?
「現在、患者様全体の約8割が利用されています。導入当初は利用される方が少なかったのですが、昨年度末に3日間の無料貸出を実施しましたところ、継続利用を希望される方が多くいらっしゃいました。もしかすると、口頭で『タブレットでテレビが見られます』とだけ説明しても、使いにくそうだと思われる方が多かったのかもしれません。」
Q、患者様はスマテレで何をご覧になられていますか?
「ニュースや情報番組を見られている方が非常に多いという印象です。他にも動物やパチンコの番組を見られている方もいらっしゃいましたし、8月は高校野球を見られている方がとても多かったです。皆さんスマテレで世の中の動向をウォッチされたり、趣味嗜好に合った番組を見て楽しまれているようです。」
Q、導入して感じられたスマテレの良いところを教えて下さい。
「患者様にご意見を伺ったところ、どこへでも持ち運べるところが良いとおっしゃっていました。お気に入りのデイルームや席に移動して、スマテレを利用されている方が非常に多いです。また距離感の調節が可能なところも良いところだとうかがっています。固定されているテレビでは、距離が遠くて文字が見えないとおっしゃる方が多かったのですが、スマテレは自身の手元で調整できて見やすいとのことでした。」
スマテレは、テレビ以外にもインターネットや各種アプリをご利用頂けます。
Q、他にもあったら良いなと思う機能はありますか?
「患者様からは、映画が観られると良いなとか、ご家族とテレビ通話で交流できると良いなといった意見を伺っています。またスタッフからは、リハビリの進捗状況や目標値を患者様と一緒に確認し、それを基にこの部分をもう少し頑張りましょうかといった相談や、退院までにこれはできるようになってほしいですといった指導が行えると良いという意見がありました。」
Q、スマテレは患者様の回復に役立っているでしょうか?
「とても役立っています。特にそれを感じるのは、離床時間が拡大していることです。離床時間とはベッドから離れて過ごす時間のことを指します。テレビを見ていたいのでベッドに横にならず、デイルームなどで座って過ごされる時間が増えており、非常に高い効果を感じています。」
- スマテレ利用可能エリア
スマテレはWi-Fi接続が可能な、レストラン・温浴施設・デイルームでのみ利用できる。同院にはコンセプトの異なるデイルームが8ケ所あり、場所ごとに違った雰囲気を楽しむことができる。
- スマテレ利用不可
病室にはテレビを置いておらず、スマテレも利用できないようになっている。(Wi-Fiが届かないように施工している)
スマテレを持ち運ぶその先には
リハビリテーションとは、身体の機能を回復させるためだけの訓練ではなく、患者様が社会で自立して生活できることを目指すものとあります。
スマテレを持ち運ぶということ自体は単なる小さな行為にみえますが、そこにはテレビを見たいという思いがあり、それは情報を得たいという社会生活を営むための行動のひとつだと捉えると、私達もスマテレを提供できることにとても誇りを感じます。偉業を成すのも小さな一歩から。私達もスマテレの可能性を伸ばす一歩を踏みしめたいと思います。
北原リハビリテーション病院 導入システム
- システム導入:2018年3月/東京都八王子市
- システム:スマテレ 30台
- 導入窓口:株式会社パースジャパン
スマテレ®は株式会社ホスピタルネットの登録商標です。